念願のАпрелевский завод(Aprelevsky Plant)盤を手に入れた話。
最近レコード収集にハマっている。
例によってコロナ禍でズブズブといったわけだけど、以前からプレーヤーはあったしレコードも何枚か持っていた。何なら幼少の頃から祖父母宅でLPや7インチを回していた。
最近収集している主なジャンルはジャズ・クラシック等。今までなら手を出さない領域であった。それがなぜ今になって?と考えると正味なところ老いのせいかなと思う。つまらないと思っていたものが楽しいと感じてくる。嗜好の変化は良いことだと思う。だって30超えてV系聴いてたらイタいでしょ?いや今も普通に聴くんですけどね。
ジャズ・クラシックを聴く上で自分の中で大前提だと思うのはスピーカーで聴くこと。上等なアンプやプレーヤーは揃えなくていい、最低限Bluetoothでもいい。自分はイヤホン・ヘッドホンでは聴けない。音との距離を一定開けること大事だと思っています。
おすすめのレコードとかはまた気が向いたら書くとして、今日はずっと欲しかったレコードについて書こうと思いました。
それが上記のものです。
ただ、ソ連のレコードはすでに何枚か持ってるんですよ。
このレコードはまたそれらとは違うんですね。
他のレコードと並べてみます。
はい。
少し小さいんですよね。
レコードにお詳しい方なら『お?SP盤か?』と思われるでしょう。
しかしこれはLPです。正確に言うとSP盤の規格を変えないまま溝と材質だけLPしようにしたものです。日本などでも60年代までは10インチで色々出されてましたが、ラベルまでSPサイズで出していたのは Апрелевский Завод レーベル | リリース | Discogs だけじゃないでしょうか?
内容としてはショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第6番ト長調 Op. 101なんですが、録音・製造時期がdiscogsでは確認出来ず。(ちなみにdiscogsは音楽に特化したwikipedia&マーケットです。)
なんか手掛かりが無いものかと思案した結果、ジャケットで調査することにしました。
この時期のソ連盤は安価に大量に作るためか、はたまた音楽に芸術的な側面を持たせないためか、レコードごとにジャケットを作っておらず、単なるスリーブとしての役目だったようです。 装飾は様々なようで、『同じ柄のスリーブを大量に生産して、なくなったら都度新しい柄のスリーブを作っていた』という仮説を元に探しました。
が、見つかりません。
日本語はおろか、英語で手当たり次第検索してもebay等のリンクが見つかるだけでした。
それもそうか、ロシアの公用語はロシア語、キリル文字ですもんね。
ということで、改めてGoogle翻訳で英語をロシア語変換→検索したところ。
https://russian-records.com/details.php?image_id=45689&l=russian
あった、これだ。
どうやらこちらは『アプレレフスキー工場』で刷られたもののようです。
小豆色に黒字なので大変読み辛いですが、裏面にもなにか書かれていたようで、
『Подп. к печати 14/VI-57 г. Заказ 291. Тираж 1 000 000
Полиграфкомбинат, г. Калинин. пр. Ворошилова. 5.』
翻訳すると
『Subp。14 / VI-57、注文291を印刷します。発行部数1,000,000
ポリグラフプラント、カリーニン。ヴォロシロフアベニュー 五。』
……
所々よく分かりませんが、1957年6月14日に1,000,000部刷られたと読めます。
ということは、このレコードは1957年、もしくはそれ以降のもの?
色んな謎が解けて感激したのも束の間、おや?
ショスタコーヴィチってわりと最近の人だったはずです。
はい。
はい。
このレコードはショスタコーヴィチが初演した翌年に製造されたものみたいですね。
え?やばくね?
ほぼショスタコーヴィチの新曲として刷られたものじゃん。
下手したらこれ初演入ってるかもしれないぞ。
感動通り越して寒気がしました。
実はこのレコード購入額¥1,000切ってるんですが、金では手に入らないものを手に入れた感じがします。
丁寧にクリーニングして、有り難く聴いています。
録音時期がいつなのか分かったら追記します。
レコードを聴かない人、もし部屋にスペースがあったらこの際聴きましょう。
では。
[2021/03/07 追記] ネットの情報のため憶測にすぎないのですが、 Beethoven Quartetの非公式サイトによると初演から一週間後のものみたいです。
あとdiscogsには記載がなかったのですが どうやらジャケットが存在するみたいです。